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デカフェコーヒーには「バズらない力」がある。(デカフェ試飲会を終えて)

こんにちは!11月最初で最後の3代目です!
4月に家業に戻って以来、毎月あっという間に終わってしまう気がしますが、11月は特に!特に!早かった!危うくブログ0本で終わるとこでした。もう11月がぶっちぎりで「あっという間 of the year」受賞です、おめでとう11月!

さてさてそんな小話もそこそこに、11月13日(土)にデカフェ(カフェインレス)コーヒーの試飲会を開催致しました。
試飲用紙コップの使用数を見る限りでは100名を超える方にデカフェを飲んでいただけたようです。本当にたくさんの方にご来店いただき嬉しかったです。ありがとうございます。

デカフェ(カフェインレス)を飲んだことがない方にとっては、
「コーヒーといえばカフェイン カフェインといえばコーヒー」
「カフェインの除かれたコーヒーなんて美味しいの・・・?」
おそらくこんな疑問や感覚から、デカフェの味はイメージしずらかったと思います。

それでも飲んでくれた方が「美味しい」「普通のコーヒーと変わらない」と言ってくださったのは本当に嬉しかったですし(もちろんあの状況で僕に「美味しくない」とは言いにくいと思いますが笑)、「意外とデカフェ(カフェインレス)いけるやん」というリアルな反応をたくさんいただけたことで、試飲会の意義を感じることが出来ました。

このデカフェ(カフェインレス)には僕自身強い思い入れがあり、その思いが原動力になって試飲会などのアクションに繋がっています。今回は、デカフェ試飲会を経て新たに感じたことをベースに、どうしてデカフェ(カフェインレス)にそこまで熱を注ぐのかのお話をさせていただければと思います。

前回のブログの内容は、どちらかと言うと「お客様にとってこのデカフェはどんな良さがあるのか」という視点だったのに対して、今回のブログは「なぜ私はデカフェを提供したいのか」という視点・主観ベースのお話です。

デカフェ(カフェインレス)コーヒーには『バズらない力』がある

「なぜ私はデカフェを提供したいのか」

いきなり結論を申し上げると「デカフェはバズらない」からです。もう少し自分の感覚に合う表現で言うと「バズらないでいてくれる」という感じです。僕個人の気持ちとしては、デカフェコーヒーにはバズって欲しくない、ブームになってほしくはないと思っているのです。
「なぜバズらせたくないのか。」
「デカフェは何故バズらないと思っているのか」
順番にご説明しますね。

ブーム(バズる)は「点」を刻み、文化は「線」を描く。

まず前提としてお伝えしておきたいのは、バズるモノが悪いとか、バズらせるマーケティングが悪いとかいう意見ではないことです。意図してバズらせることは極めて高度なマーケティングスキルだと僕自身思っているので、まずそこへの敬意は明示しておきます。

そのうえで、なぜバズらせたくないのか。
バズるものが長く愛されることは難しいからです。

たしかにバズることで瞬間最大風速的に注目が集まることは、僕自身としても企業としてもメリットのある話ではあります。しかしその風速の大きさに反比例して関心は薄くなります。一方で、バズらなくても目立たなくても、少しずつ必要な人の元に届いて、長く愛されるものは日常になり、やがて文化になります。バズるものは大きな「点」を刻み、文化となるものは「線」を描きます。

70年ほど続くこの会社において、継続することの大変さと継続したことで生まれる価値を肌身で感じています。そのなかで僕自身も長く愛されるものをお客様にご提供したいと考えるようになりました。僕にとってこのデカフェは「点」ではなく「線」を描けるものだと信じています。

なぜデカフェはバズらないのか

バズらせたくないのは分かった。でもなんでデカフェがバズらないと思えるのか。

それは必要でない方にとっては飲む動機がないからです。
もう少し言葉を積み上げると「みんなが飲んでいるから私も飲んでみる」という動機が起こりにくく、デカフェを飲みたい方が、“自分自身の中に”デカフェを飲む理由を持っているからです。逆に言えば、デカフェを飲む理由がない方にとっては、必要ないものです。デカフェは必要な方にとっての日常アイテムになることができます。限られた人にとっての日常は、小さな文化になり、決して太くはなくとも確かな「線」を描くことができます。

僕自身はコーヒーを飲んでも体調は悪くなりませんし、スヤスヤ眠ることが出来ますが、カフェインを摂取できない(したくない)けどコーヒーを飲みたい方は確かにいます。そんな方にとってカフェインの心配なくコーヒーが飲めること、コーヒーを飲んで美味しいと思える時間がどれほど幸せで大切か。それを知ることができたのは僕自身、珈琲屋としてすごく嬉しいことですし、そんな喜びの輪を少しずつ広げることが珈琲屋としてできることの1つだと思います。

本当に「点」ではなく「線」を描けるか?

デカフェはまだ世の中に浸透していなくて、必要としている人にちゃんと届くだろうかという気持ちもなくはないですが、か細くとも「線」を長くする(途切れさせない)ことが1番大事です。もちろん今目の前のこと(今回でいえば試飲会という「点」)に集中することは大切なのですが、あくまでこの試飲会は「線」を作り出す「点」であることを意識しなければと思っています。

ただ一方で考えておきたいのは「線」を断ち切らなければいけない局面も起こりうるということ。つまり私たちが事業として扱い続けることができるか。やはりお客様に必要とされ続けなければ成り立ちません。僕の情熱だけではご飯は食べていけないのです。情熱を注ぎつつ冷静に、本当にお客様に求め続けていただけるかを見守っていかなければいけません。

デカフェは「線」を描ける。描き続けられる。

それでもデカフェ(カフェインレス)コーヒーに情熱を注いでいる理由は、デカフェ(カフェインレス)コーヒーが「線」を描けると信じているからです。万人受けするアイテムではないものの、必要としてくれる人が確かにいる。むしろ必要としてくれる人が鮮明にイメージ出来るからこそ、このデカフェを通して誰かを笑顔にできる。必要としてくれる方にきちんとお届けすることさえできれば、このデカフェは「線」を描き続けられます。

という熱さマシマシのお話でした。
ここまで読んでくださった方がいるとすれば、本当にありがたいことです。
引き続き、頑張ります。

なんだかこれを書きながらまた気持ちが高まってきました。単純です笑

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2021年春に家業である澤井コーヒー本店へUターンした3代目が、澤井コーヒー本店のこと、コーヒーにまつわる役に立つお話から役に立たないお話まで、日々発信して参ります。