代表取締役に就任いたしました

このたび、家業である株式会社澤井コーヒー本店の代表取締役に就任いたしました。創業76年目、3代目。祖父が創り、父が繋いだこの会社を預かる第3走者として、これまでの感謝とともに本日スタートいたします。

「この業界は厳しい」

業種にかかわらず、家業を継ぐ方にとっては耳にタコができるほど聞いたフレーズだと思います。私も同じですが、厳しくない業界なんてないですよね。でもやりたいんです。

たしかに喫茶店さまへの卸売がメインの私たちにとっては、コロナ禍や、喫茶店オーナー様の高齢化・後継者問題は大きな影響をもたらしています。でも、だからといってコーヒーを飲まなくなったわけではありません。私たちのコーヒーを求めてくださる方と出会うために、私は努力を続けられるし、続けたい。そう思ったことが家業を継ぐきっかけです。その気持ちは今も変わらないどころか日々強くなっています。

ただ一人でできることには限度がありますので、私が何を頑張りたい（＝どんな方向に進んでいきたいか）を言葉にして、今いるメンバーやこれから出会う人にオープンにすることで、しなやかなまとまりのある集団になればと思っています。

1948年の創業から、企業理念や社是、MVVといったものは持たなかった私たち。きっと「そういうものは大企業がつくるもの」という気恥ずかしさのようなものが、祖父にも父にもあったかと思います。でも私たちのような小さな会社こそ、もっとそれを言葉にして伝える必要がある。そう思い、代表取締役就任のタイミングでまず言葉にすることにしました。とはいえ、社是や理念という言葉が少し自分にはぎこちなくて「わたしたちの姿勢」という言葉を選びました。

―　わたしたちの姿勢　－
いまある「好き」を大切に
まだ見ぬ「好き」のきっかけに

いまある「好き」を大切に
コーヒーは嗜好品です。私が家業に入って3年になりますが、色んな方にコーヒーの“正解”を求められる場面は多い気がします。たしかにコーヒーには焙煎や抽出など色んな場面での“原理原則やパターン”はありますが、唯一無二の“正解”はありません。「好き」だと思ったものが「好き」と言えるように“正しさ”よりも“楽しさ（好き）”を大切にしていきます。
自分が好きと思えるものを大切にできるよう、私たちも自分の好きを大切にして、誰かの好きも大切にできる人の集まりでありたいと考えています。

まだ見ぬ「好き」のきっかけに
「好き」が増えることは毎日が豊かになること。
コーヒーをはじめお客様の「好き」が増えるきっかけとなる存在になることに、私たちが事業を続ける価値があると考えています。そのために、必要な知識・経験を身に着ける努力を惜しまず、身に着けたものがどうしたら伝わるか、どうしたら価値を感じていただけるかを想像し実践し続けます。私たちと関わってくださる方々にとって、まだ見ぬ「好き」を見つけるきっかけになりたいと考えています。

これまで携わってきてくださった皆様、いま携わってくださっている皆様への感謝と共に、みなさまからお預かりしているこの大切な会社を通じて「好き」の総量を増やせるように、これからも走り続けます。どうぞよろしくお願いいたします。

株式会社澤井コーヒー本店
代表取締役　澤井 泰佑